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世界のお手本にしたい、ある地方タクシー会社の「まごころサービス」

マニュアルを超えた日本人の優しさ
日本在住30年。リクルート社を経て、現在は経営者として活躍する米国人女性、ルース・マリー・ジャーマン氏。著書『』は、日本が大好きな外国人だからこそわかる、日本人の精神、美意識、強さの秘密がつまった一冊だ。彼女によれば、長野県には地域の人から絶大な支持を受け、売り上げを伸ばし続けているタクシー会社があるという。その人気の秘密に迫った。

「忍耐力」を重視する日本企業

私は仕事のなかで、人材採用の場面を数多く経験してきました。

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そこで気づいたのは、日本とアメリカにおける評価の基準の違いです。

日本企業のトップは、入社する人が、困難な仕事に前向きな精神で取り組めるか、忍耐力があるかに価値を置いているように思えます。

日本の学生には、履歴書に「同じところでアルバイトをつづけ、接客を学んだ」や「毎日の犬の散歩を欠かさずに行っている」などを強調してアピールする人たちがたくさんいます。最初私には、面接で犬の散歩をアピールする学生の気持ちがさっぱりわかりませんでした。

アメリカは、困難な危機に直面したときこそ勝負をかけ、勝利を勝ち取るハートをもった人間が高く評価されます。

アメフトのクォーターバックが、いい例です。

練習で決められたプレイを途中で捨ててでも、危機やチャンスのときには、独断で瞬間的に自主的な行動をとり、点を獲得する。

たとえリスクがあっても、時にはほかのプレイヤーやコーチがついていけなくても、結果を出せばそれでいい。

その姿勢が評価され、英雄的選手として称賛されるのです。

 

個人を優先するアメリカをワンマン組織とするならば、日本の経営者は、エブリワン(全員)のチームワークを求めます。

そして、エブリワンでうまくいくためには、会社に対する「忠誠心」や、仕事に対する「忍耐強さ」が貴重になるのです。

アメリカの企業は、即戦力を第一に考えます(そのせいか離職率も高止まりしています)。それに比べて日本の企業に入社する新人は、結果を出すスピードは遅いかもしれません。しかし、長く同じ会社で働いている社員の忠誠心を考えれば、間違いなく日本企業のほうが持続力があるでしょう。

来日して早々に、リクルートの総務部に配属されたときのことを思い出します。

日本語がほとんどできない私にとって、何より大変な仕事は電話の応対でした。

言葉を間違えて先輩に怒られ、悔しい涙を流したことは、数しれずです。

しかし、だれも「ルーシー、専門分野の英語だけに集中し、即戦力になってください」とは言いませんでした。そのときのリーダーたちの忍耐力が、私に大きなチャンスと成長の土台を与えてくれました。

先輩たちは、失敗から学ぶ時間を与えることで、私に投資したのです。そのおかげで、退職して何十年経ってもリクルートに強い忠誠心があり、チャンスがあればいつでも応援したいと考えています。

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