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アマゾン創業者・ジェフ・ベゾスの離婚劇「桁違いの慰謝料」の裏側

4兆円が一晩で一人の女性のもとに…

「アマゾン」創業者で、長者番付では2年連続世界一の大金持ち。今週の『週刊現代』では、この男の離婚劇について報じている。

生涯年収「2万人」分

今年1月7日、米アマゾンの時価総額は、マイクロソフトを抜いて世界1位に浮上した。その2日後、アマゾンの創業者でCEOのジェフ・ベゾス(55歳)はツイッターで、妻・マッケンジー(49歳)との離婚を発表した。

ジェフ・ベゾスの資産総額は、推定1362億ドル(約14兆7000億円)。長者番付では、2年連続世界一の大金持ちだ。

このベゾスの離婚劇で、妻・マッケンジーがどれだけのおカネを得るのか。世界中の注目の的だったが、この4月4日、とりあえずの決着が付いた。

350億ドル、日本円にして約4兆円―。

離婚の慰謝料としては史上最高の額である。

これまでの最高額は、富豪アートディーラーのアレク・ウィルデンシュタインの妻が受け取った38億ドル(約4000億円)だったから、その10倍近い額だ。

大金持ちだから、こんなこともあるだろう……いや、本当にそうだろうか。平均的な日本人サラリーマンの生涯賃金は、2億~3億円である。このマッケンジーという女性は、離婚によって2万人分の生涯の賃金を得たのである。

「自由競争のメカニズムが、行き着くところまでいってしまった証左だ」と語るのは、経済学者の高橋伸彰氏(立命館大学名誉教授)である。

「今年10月からの消費増税対策として、政府が投入する経済対策が2兆円。その2倍もの額をひとりの女性がいとも簡単に得られるという状態は、資本主義の理想とは大きくかけ離れたものだと言っていいでしょう」

もちろん、マッケンジーからすれば、当然の権利だという気持ちもあるかもしれない。プリンストン大学を好成績で卒業後、'92年にニューヨークのヘッジファンドに入社したマッケンジーは、そこでジェフ・ベゾスと出会う。

交際3ヵ月で婚約すると、翌年には結婚した。アマゾンが創業する'94年には夫婦でシアトルに移り住む。マッケンジーは会計士として会社を支え、書籍の発送作業の手伝いさえ行っていた。

創業期には、どこの馬の骨ともわからない会社であったことは事実だ。そこから二人三脚で会社を伸ばしていったのだ。

 

マッケンジーは、小説家としての顔も持つ。カズオ・イシグロや村上春樹と同じエージェントと契約し、米国の一流出版社から何冊もの小説を出版し、評論家からは高い評価を受けている。

アマゾンの事業が軌道に乗った後は、夫の会社の要職には就かず、ジェフ・ベゾスの妻としてみずから対外的な発信をすることは少なかった。

例外的なのは、ジェフ・ベゾスの評伝『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』が出版されたときのことで、突然アマゾンに自分の名前で読者レビューを書いた。

★1つという最低ランクをつけたうえ、「この本は、不正確な点が多すぎて、書かれているエピソードすべての信憑性に疑問を投げかけている」と批判したのだ。

「アマゾンの社員や企業文化が偏った形で描かれている」と書いたマッケンジーだったが、書かれていたのは、アマゾンを知る人なら常識ともいえる、夫妻には非常に耳の痛い話ばかりだった。

ひとつはアマゾンのビジネスモデルについてだ。

米国公認会計士で百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏が言う。

「ベゾスは、徹底した顧客第一主義をとります。消費者が便利になることが最大の正義で、そのためには雇用が失われようが、産業が破壊されようが構わないという姿勢を貫き、膨張を続けてきました。人の雇用については、考えている節はない」

ジャーナリストで『アマゾン・ドット・コムの光と影』の著者・横田増生氏は、その価値観は、内部の「格差社会」を見れば明らかだという。

「富はベゾスに集中していきます。15兆円近い個人資産を蓄えながら、世界中のアマゾンの現場労働者の多くは低賃金労働に苦しんでいます。米国では時給12ドル程度だったのが、なんとか15ドルまで上がった。

しかし日本のアマゾンでは、物流倉庫で働く労働者の時給はいまだに1000円程度。過酷な労働環境で、激しいプレッシャーのなかで働いているのです」