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福島事故から8年、いつまでこの国は「原発議論」から目を背けるのか

日経新聞の「不思議な記事」に思う

奇妙な日経記事

東日本大震災から丸8年が経過した。東京電力福島第一原子力発電所事故はいまだ終息するメドが立っておらず、日本のエネルギー政策に影を落としたままになっている。

震災があった3月11日には新聞やテレビが8年たった今の福島の現状など様々な角度から検証記事を掲載した。

そんな中で、日本経済新聞3面の記事が目を引いた。「エネルギー改革 道半ば」という横見出しに続いて、「火力依存で高コスト 原発新増設、方針示せず」という見出しが立っていた。

 

2010年度には54の原子炉があり、原子力発電が全体の25.1%に達していた。それが2017年度は再稼働しているのは9基だけで、発電量全体の3.1%しか賄えていない、と指摘。その結果、石炭やLNG(液化天然ガス)といった火力への依存度が8割を超えているとしている。

そのうえで、「エネルギーのコスト競争力は日本経済の基盤だ」として、高コスト体質の見直しを求めている。

グラフには、貿易収支が示され、原発に代わって火力を増やした結果、燃料輸入が急増したため、2011年以降の累計赤字が31兆円に上ったとしている。つまり、「コストの安い」原発に戻せといわんばかりの論調なのである。

大手重電メーカーなどが大口スポンサーで、伝統的な大企業経営者に近い日本経済新聞からすれば当然の主張とも言えるが、原発があたかも「低コスト」であるかのような書きぶりはミスリーディングだろう。表面的な燃料代だけでコストを比べ、事故処理にかかっている莫大な国民負担、電気料金への上乗せ負担を考えれば、低コストなどとは決して言えない。

なぜ、原子力発電が必要なのか。その時々に応じて経済産業省や資源エネルギー庁は説明を変えてきた。

資源がない日本が、いずれ埋蔵量がなくなる石油資源に依存するのは危険だという説明や、エネルギー自給率や安全保障上の必要論をからめた説明、他の電源に比べてコストが大幅に安いという説明、二酸化炭素排出がほぼゼロなので、温暖化対策に不可欠であるという説明などなど。

だが、そのいずれも安全性への不安を訴える反原発派、脱原発派の人々を納得させる水準には達していない。

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