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映画『ブラックパンサー』と随筆『世界と僕のあいだに』の共存

エンターテインメントの街で 第2回
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米コロンビア大学を卒業後、現在、株式会社CTBの代表を務める筆者は今年、アメリカのエンターテインメント産業で仕事を作るべく、ロサンゼルスに拠点を移した。そこで目にしたさまざまな光景を伝える新シリーズ。第2回目は映画『ブラックパンサー』のヒットについて――。

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「ブラックパンサー」という言葉

黒い豹を意味するブラックパンサーという言葉を、今日のハリウッドで呟けば、2018年の北米映画市場で興行成績1位を記録したライアン・クーグラー監督の作品を、誰もが直ちに連想する。

ウエスト・ハリウッドに新しくオープンしたルーフトップレストランで、ワインを片手に映画を論じる大手映画スタジオの女性エグゼクティブも、例外ではない。会食の趣旨であったビジネスもひと段落し、ディナーの席の会話がごく自然に最近のヒット作へと移行すると、彼女は映画『ブラックパンサー』に翳りない賞賛を注ぎ始めた。

黒人の監督が黒人のキャストで撮った映画がこれほどヒットするなんて、あなたは素晴らしいことだと思わない? だって、黒人の子供たちが自分と同じ肌の色をしたヒーローの活躍を大画面で観るのは、本当に大切だと思うの。

そう言ってライバル会社の映画を讃える女性エグゼクティブの表情は誠実そのものであり、またその誠実さは、典型的でもある。

「白人至上主義の台頭など、政治的、文化的に逆進的傾向が目立つ今日において、映画『ブラックパンサー』の存在自体がレジスタンスである」と評するタイム誌に始まり、アメリカのマスメディアは、クーグラー監督の作品を語る時、「黒人映画」の成功を語らずにはいられない。

また、オバマ大統領が開館式を主導したスミソニアン博物館の新館、アフリカン・アメリカン・ミュージアムが映画のコスチュームをコレクションに追加するなど、『ブラックパンサー』の成功は、アメリカ社会における黒人の境遇の改善を示す「希望」として語られることを免れないのだ。

 

無論、映画『ブラックパンサー』そのものは優れた大衆娯楽作品であり、「黒人映画」、または黒人の「希望」として正当化されることをいささかも必要としてはいない。そのような難しいことを考えずに、ポップコーンを片手に鑑賞してめっぽう面白いからこそ、北米で七億ドルを稼ぎ出した映画『ブラックパンサー』は、メインストリームのエンターテインメントを志す我々にとって憧れの対象である。

それでも、まるで大衆娯楽に過ぎないことを言い訳するかのように、『ブラックパンサー』を社会現象として語らねば気が済まない風潮は、今日のアメリカにあって致し方ないかもしれない。

だが、ウエスト・ハリウッドのルーフトップレストランで、あくまで誠実に黒人の「希望」が語られ得る時、ブラックパンサーという言葉の意味を再考せずにはいられない。

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