書店員さんが選ぶ「私が好きなブルーバックス」第3回は「時間」!

全国の目利き書店員さんのこの1冊
全国の目利き書店員さんに「私が好きなブルーバックス」の魅力を語っていただくシリーズ連載、復活! 今回は「時間」をテーマにした名著を広島の地からご紹介していただきます。

第3回 犬丸美由紀さん(広島蔦屋書店 暮らしコンシェルジュ)

時間とはなんだろう

広島T-SITE 広島蔦屋書店

広島市の中心部から、車で西へ約20分。大型複合施設LECTの中に、があります。

広島T-SITEは本屋と個性豊かなショップがシームレスにつながり、「楽しく、丁寧に暮らす生き方」を提案する施設です。「食」「暮らし」「親と子」のフロアで本が入り口となり、さらに、深いモノやコトがあります。

たとえば「食」のフロアでは、「食」に関係した本を並べた書棚の横にキッチンがあり、毎週コンシェルジュによる調理イベントが開催されています。

また、イベントと同様に力を入れているのが、コンシェルジュが企画するフェアです。ジビエをテーマにしたフェアの際には、ジビエの料理本、狩猟の本と一緒に、鹿肉のソーセージを取り扱いました。さらに、ソーセージをキッチンで焼いて試食イベントも行いました。

モノを売るのではなく、ライフスタイルを提案したい、そのひとつのカタチがフェアなのです。

わたしも、フェア企画は好きな仕事のうちのひとつです。

今年、「空想か、現実か」というタイトルでフェアを企画しました。SFの中で書かれている一見、空想としか思えない話は、今までに何が実証され実現可能になったのか、そして未来、何が実現可能になっていくのか、とても興味があったのです。

「アストロバイオロジー」や「AI」など6タイトルに分類し、それをテーマに書かれたSFと、理工書で展開しました。

その6タイトルのなかのひとつ、「相対性理論」で選書したのが、今回紹介させていただくです。

時間とはなんだろう~最新物理学で探る「時」の正体

今日もわたしの一日は、目まぐるしい。

頭の中で、優先順位と効率を考えながら行動する。しかし、なかなか思い通りにはいかず、時間だけが過ぎ帰宅時間となることが多い。

「あー、今日も時間が足らなかったなー。時間が欲しいなー。誰か時間くれないかな。時間貯金とかできたらいいのに」

と、できもしないことをぼんやりと考えながら電車に揺られる。

時間…時間…とつぶやきながら、考えてみる。

説明は難しいけれど、過ぎていくのが時間ではないのか。日常生活では、時計の進行、人の動き、太陽の傾き、季節のうつりかわり、星の位置などで時間が経過していくのを知る。今が過去になっていく。それを繰り返すのが時間ではないのか。そして時間は、ある一定の方向(未来)へ進んでいるようにも感じる。

しかし、それが時間なのかと言われると、なんだか、空をつかむようにもどかしい。

時間とは、そもそも何なのか。

本書『時間とはなんだろう』は、今、わたしが知りたいこと、そのままのタイトルだった。「時間とはなにか」という、シンプルにみえて考えれば実に厄介な疑問をほぼ数式抜きで理解できるように書かれている、物理学の観点から探る書籍だ。

著者の松浦壮さんは、普段から自然科学を専門としない、いわゆる文系と呼ばれる学生を対象に物理の講義をされているので、数式が苦手なわたしでも安心だ。

目には見えない時間というものをつかみたい。

そのためには、ごくあたりまえの存在である空気や水が「どんな元素からできていて、なぜ地球にあるのか」を紐解くのと同じ作業が必要になる。目には見えないが、ありふれた存在である時間も、「背後にどんな理が連(つら)なっているのか」を知ることが必要になってくるのだ。

導入も身近な話から始まり、ガリレオとニュートン、相対性理論、量子論と進んでいく。時間という切り口から歴史をたどり、一冊で現代物理学を俯瞰できる構成になっている。

これまで、うまくつかみきれなかった時間だが、読み終えた後では、宇宙全体でいえば「物質の運動」が、ミクロの世界では「量子場の振動」が、時間を作りだしている。そう理解することができる。

一冊の本を読むことで、新たな視点を獲得した。

これまでは、正体のわからない時間というやつが、わたしを縛りつけコントロールし、ドンドン未来へ運んでいってしまうような感覚だった。だが実は、この宇宙全体を構成しているすべての物質の運動エネルギーが、時間を生み出していたのだ。

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