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「その手術、やっぱりやめます」と言ったら、医者はどう思うか

「嫌われる勇気」も必要です

「怖くなるのは当たり前」

神奈川県在住の橋本行夫さん(65歳・仮名)は、2年ほど前から偏頭痛のような症状があった。時折、右側の視野が歪むような感覚もあったが、眼鏡が合っていないことが原因だと思い、放っていた。

しかし、その後、眼鏡を替えても症状は治まらず、総合病院でMRI(磁気共鳴画像)検査などを受けたところ、脳腫瘍だと診断された。橋本さんが語る。

「幸い初期(グレード1)だったこともあり、医者は『手術をして取ってしまいましょう』と言いました。妻や娘からも強く勧められ、手術を受けることになった。

でも、脳腫瘍は、手術中に血管や神経を傷つけて、失明などの後遺症が残る可能性があると聞いたんです。それと、頭にメスを入れるのは単純に怖いという気持ちもありました。

しかし、もう入院して、あとは手術日が決まるのを待つだけという状態になってしまった。とても、いまさら手術をやめたいとは言い出せない状況になってしまったんです」

いざ病気が見つかると、患者は次々と決断を求められる。この検査を受けるか受けないか、いつから入院するか。その最たるものが手術を受けるか、受けないかだ。

患者本人の心の準備ができないまま、どんどん物事は進んでいき、後戻りができなくなる。

「私も患者さんから『やはり手術は受けたくない』と言われたことが何度もあります。手術を逡巡される理由は様々ですが、根底にあるのは恐怖ではないかと思います。

医師としては、医学的な判断によって手術を勧めているのですから、『受けたくない』と言われれば『仕方がないな』という諦めのような感情になりますね」(昭和大学横浜市北部病院・循環器センター教授の南淵明宏医師)

 

病院のベッドでも悩み続けた橋本さんは、手術日が決まる直前、家族がいないタイミングで主治医に伝えた。

「やっぱり手術をやめて、放射線治療に切り替えたいのですが……」と言うと、主治医は少し慌てていた。翌日、あらためて主治医と家族も交えて話し合った。

橋本さんが「お恥ずかしい話ですが、やっぱり怖いんです」と伝えると、主治医も家族も納得してくれた様子だった。その後、通院しながら、放射線と薬物による治療を行い、現在までに腫瘍はかなり小さくなったという。

患者が手術をやめたいと言った時、医者はどう感じるのか。くどうちあき脳神経外科クリニック院長の工藤千秋医師が話す。

「手術を勧められた時、患者さんがためらったり、不安になるのは当然のことだと思います。患者さんが『手術を受けたくない』と仰った場合、私は最低でも2~3回は面談をするようにしています。

患者さんがこちらを信頼し、納得してくれているかは、不思議と手術の結果にも表れます。どちらかが手術に前向きでないと、結果もうまくいかないことが多いのです」

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