孫正義も大ヤケドの可能性…カショギ氏殺害にちらつく「影」の正体

インテリジェンス「超応用問題」を解く

※本記事は『』に収録している文化放送「くにまるジャパン極」の放送内容(2018年10月19日)の一部抜粋です。野村邦丸氏は番組パーソナリティです。

カギとなる概念「外交特権」

邦丸: 今回行方不明になっている、と申しますか、殺害されてしまった可能性が高いカショギさん。彼の遺稿をワシントン・ポストが掲載していますが、それを読んでみても日本人の感覚だと、それほど「反政府記者」でもないのでは…と思ってしまいますね。サウジアラビアという国の特殊性が感じられます。

佐藤: 彼は「反政府」というより、王族に近すぎたんです。

邦丸: 近すぎた?

佐藤: 知りすぎているんです。それで、現体制にちょっと批判的になった。実は、政府の要職にも就いていますし、決して反体制活動家ということではない。むしろ、権力に近い人々の内輪揉めと考えたほうがいいと思います。

邦丸: なるほど。カショギ氏は、結婚の届け出をするために在トルコのサウジアラビア総領事館に足を運んだところ、あっという間に身柄を拘束された。そして薬物を注射されたとか、生きたまま切り刻まれたとか、イヤな話が色々と出てきています。しかし佐藤さんは、まだまだウラはいっぱいありますよ、と。

 

佐藤: あくまで推測ですけどね。まず、そのお話をする前に知っておかなければならないこととして、「外交特権」というものがあるんですよ。

邦丸: 外交特権。

佐藤: 大使館と総領事館には、現地の人間は、どんなことがあっても勝手に入ってはいけない。火事のときだけ、総領事館には消火のために入ることができるんですけど、大使館には入れない。だから、要請がなければ燃えるのをそのまま見ているしかない。

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それから、外交官というのは逮捕もできないし、税金もかけてはいけないし、身体に触ってもいけないんです。

邦丸: へえ~~。

佐藤: これを不可侵権といいます。ただ、これはいわゆる「治外法権」とは違います。

外交官にはウィーン条約上、赴任国の法令を遵守する義務がある。ただし、違反しても現地の警察が捕まえることはできないんですね。もちろん殺人はどこの国でも法律違反です。しかし、捕まえることはできない。ではどうするか。

不可侵権は外交官個人に与えられる特権ではないので、例えば今回なら、サウジアラビアが「外交特権を放棄する」と言えば、トルコ当局は容疑者が外交官であっても捕まえることができます。

ところが通常、そんなことにはならないんですよ。どうするかというと、接受国、今回でいえばトルコ側が国外追放にするんです。出て行け、と。

邦丸: なるほど。

佐藤: 強制追放にもできるんですが、「ペルソナ・ノン・グラータ」という言葉がありますね。接受国にとって「好ましくない人物」という意味です。

接受国が派遣国に「貴国の外交官はペルソナ・ノン・グラータなので、72時間以内に国外退去しなさい」と通告すると、72時間経ったら強制的に外交特権がなくなるんです。もちろん逮捕もできるようになる。

しかし通常は、「72時間以内に国外退去しなさい」と言われたら、みんな出て行っちゃいますよね。それで大使館に誰もいなくなるから、捜索もできるようになる。

邦丸: ふーむ。

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