北海道地震で起こった「全域停電」他人事と思ってはいけない

専門家は「どこでもあり得る事態」と指摘

「想定外」というけれど

北海道胆振東部地震で北海道全域が一時停電した。札幌から根室まで約450キロも離れた広大な北海道全域が停電するのは、北海道電力(北電)ができた1951年以降で初めてのことだ。前代未聞の大規模停電の背景を取材すると、いまの電力供給システムが直面している大きな課題に気づかされた。

「電力会社は想定外の出来事だ、というかもしれませんが、本当にそうでしょうか……。今回のような大規模な“連鎖停電”事故は事例も多いので、十分想定できたといえます」

新たな電力供給システムの在り方について研究している阿部力也・元東京大学大学院特任教授に、地震発生直後の9月6日昼、今回の全域停電について話を聞くと、こんな答えが返ってきた。

その後の展開は阿部さんの発言どおりに展開していくのだが、まずは、前代未聞の全域停電になった経緯を簡単に振り返っておきたい。

 

ケタ違いに大きい

9月8日現在、北海道の電力復旧は道半ばだ。不便な思いをしている被災者の方々に一刻も早く日常が戻ることを願うばかりだし、現場で復旧作業に当たっている方々の奮闘には頭が下がるばかりだ。

一方で、なぜ今回の停電が起きたのか、の検証、構造の理解は進めていかねばならないだろう。

発端は、震源地近くの苫東厚真発電所(石炭を燃料とする火力発電所)の緊急停止だった。この発電所は道内最大の火力発電所で、地震発生時の需要量310万キロワットの半分以上の165万キロワットの供給をしていた。

電気は貯めておくことができない。だから、北電は常に使用電力量と発電量を一致させるように調整することで、電気の供給を安定させている。だが、今回の地震で苫東厚真の発電所が緊急停止し、発電量が突然半分以下になったため、使用電力量と発電量のバランスが崩れた。

素人考えでは、「他の発電所がフル回転して苫東厚真の発電量を補えばいい」と思うが、阿部さんはこう指摘する。

「全需要の半分もの大電源が突然消失した場合、それを他の発電所の発電量で瞬時に補うことは物理的に不可能です」

さらに電力使用量と発電量が一致しない時間が数秒以上続くと、発電機やタービンが壊れる可能性があるため、苫東厚真以外の3つの火力発電所も自動停止し、道内の発電所がすべて止まってしまった、というわけだ。

下記の「北海道電力の発電・送配電設備」でわかるように、苫東厚真の発電量は最大165万キロワットで、他の発電所と比べてケタ違いに大きい。

※北海道電力の発電・送配電設備

今回の全域停電の理由を簡潔に言うなら、「発電を分散せずに、たった一つの発電所が全体の50パーセントを超える電力供給をしていたため、その発電所が停止したら、残りのすべての発電所も連鎖停電してしまった」ということになる。

北電の真弓明彦社長は6日午後に会見し、「すべての電源が停止してしまうのは極めてレアなケースだと思う」と述べた。阿部さんが予言したとおりの発言だが、電力の需給バランスが崩れることで発電所が連鎖停止することは、電力系統の設計の基本だから、十分想定できる事態だったはずだ。「レアケースだから仕方ない」とは、電力会社トップとしては、不用意な発言だったというしかない。

2011年の東日本大震災でも、福島第一原子力発電所が停止したものの、全需要の1割にも満たなかったので、東北電力と東京電力の全域停電は起きなかった。北電が苫東厚真に5割の発電を頼っていたのが、いかに異常な状態だったか、がわかる。

では、どんな対策をしていたら、今回の事態を避けられたのか。

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