規制緩和で可能になった「地銀×人材紹介業」がもたらすインパクト

「銀行員の受け皿確保」は誤解である

クラウドソーシング型の人材紹介プラットフォーム「Crowd Agent」を運営する。新卒で地方銀行に入社した私が、転職し、現在勤める会社の名前だ。おそらく読者のほとんどは知らないだろう――。

無名に近い社員60名程度の中小企業だが、全国の地方銀行や地銀系ベンチャーキャピタルと連携し地方企業の人材確保支援を行っている。そんな最中に、金融庁から監督指針改正が発表された。銀行の人材紹介業務の取扱解禁だ。2018年の年明けに発表され、ニュースやSNSなど様々な場所で議論されているこの話題。地方銀行と人材紹介両方の「現場」を知る身としては他人事ではない。

侃侃諤諤の議論に若輩ながら参加したいと思う。

「銀行の人材紹介参入」が招いた誤解

個人や企業を問わず資金を預かる銀行は、他の業務を兼営した場合、預金者保護の面で問題が生じるおそれがあることから銀行業以外の業務取扱に厳しい制限がある。その金融機関向けの監督指針の改正案を2018年1月23日に金融庁が発表、3月30日適用を開始した。銀行の人材紹介事業が可能になったのである。

……とは言っても、この流れは数年前から徐々に始まっており、人材紹介と銀行の提携の動きはあった。融資先の企業の経営課題を聞けば、必ず挙がるのが人材不足。当然といえば当然の流れだろう。

額面通りに受け取れば、低迷する地方銀行の収益向上と取引先企業の経営支援だが、やっかみ半分で何かと噂されるのが人気業界「銀行」の宿命。出向で引き受けた「一部の使えない銀行マン」に対する皮肉たっぷりな愚痴は散見されるし、メガバンクの人員削減の発表もあった。

そうした情報に触れ、「銀行の人材紹介の正体はリストラ行員の再就職支援では?」と鋭い洞察力で批判的な感想を抱く方もいるようだ。

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まず誤解を解きたいと思う。「銀行OBの再就職」は確かにある。あるが、多くはある程度実力がある人を取引先に常駐させて、銀行との取引を厚くしていく思惑だ。地銀の業務範囲を超えて支援したいというやる気にあふれている人や、業務面では優秀だが、行内の苛烈な出世競争に負け(疲れ)外に出る人も一定数存在する。

人材業界にも銀行系出身者が驚くほど多い。顧客企業の相談を受けていると、「人材」に起因する悩みが多く、人材を通じた企業支援に興味がわき「人材業界」に飛び込むわけだ。

事実、私も上記のような理由で未経験ながら人材業界に飛び込んだ。地域の企業経営を支援することを使命とする地銀に入行する人材は、基本的に地域への貢献意欲が高く、ピュアで熱意がある人材が多いのだ。高慢で冷徹な人間がいないとは言わないが、ごく一部である。

 

……話が脱線してしまったので元に戻したい。銀行の人材紹介業務取扱は、リストラ行員の押しつけで稼ぐのでは? との懸念について答えよう。

冒頭でも触れたが、今回の監督指針改正にともない人材紹介に興味を持つ地方銀行の方が多く相談に来られる。

■groovesが連携し人材確保支援を行っているエリア

私もその商談に同席するが、その中で行員の押しつけを画策しているような話や雰囲気は皆無だ。一様に考えていることは「どうやって外部から優秀な人材を確保するか?」の一点だ。少なくとも私たちが連携している地方銀行にそのような思惑は無い、と断言できる。

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