Photo by gettyimages

人気脚本家が明かす「自力でアイデンティティを培う方法」

ジェームズ三木「わが人生最高の10冊」

家族の個性が光る名作

僕は戦中に満州で生まれ、戦後日本に引き揚げてきました。

昨日まで正義だと教えられていたことが翌日には悪になっているという強烈な体験から、本に書かれていることを鵜呑みにせずに、自分の頭で考えることを習慣にして、今まで読書を続けてきました。

1位の『』は『朝日新聞』の前に『新夕刊』で連載されている頃から読んでいたと記憶しています。

描かれているのは、買ったアンパンを1個落として戸惑ったりとか、鳥小屋を作ったはいいけど、中から出せなくなったとか、他愛のない日常なのですが、サザエさんをはじめ家族の個性が光っていて、いちいちうならせるんです。

子供心に、これは普通の漫画じゃない、長谷川町子は自分の頭で新しい価値観を作り出していて、すごいと思いましたね。

 

いつかは『サザエさん』のようなホームドラマを書きたいと思い続けてきて、いまだに実現できていません。

2位は『』です。国語と漢文の教師だった母方の祖父が「漱石全集」を家にそろえていたので、小学生のときに祖父の家で読みました。

子供ながらに猫の視点から語られるというのが新鮮に感じられ、ルビを頼りにあの長い小説を読みきったんです。

その頃はもう日本に戻っていましたが、とにかく世の中の常識とか通説が信じられなかったので、猫が人間たちを皮肉な目で見て批判しているのが面白かったんですね。

3位は『』。髪の毛が赤くてそばかすだらけで、「にんじん」とあだ名された男の子が、母親のいじめに負けず、成長していく物語です。

Photo by iStock

僕の母は11人兄弟姉妹の長女だったんですが、母の兄弟姉妹の9番目の弟が僕と年齢が近かった。その叔父が自分は兄弟の中でもないがしろにされているという意識を持っていたようで、『にんじん』に共感していました。

彼は、自分がいなくなったら心配してもらえるのではないかと家出をしたけれど、誰にも気づいてもらえなかったということもあった。叔父の家出事件と相まって、この作品は、子供の切実さを僕に印象づけました。

buy Cephalexin online without prescription

botoxclub.com.ua