イギリスのメイ首相(左)とEUのトゥスク大統領〔PHOTO〕gettyimages

イギリスのEU離脱まであと1年、本格化する駆け引きのポイント

双方の姿勢に現れた変化

日本経済界の懸念

イギリスが欧州連合(EU)を離脱する2019年3月29日までほぼ1年に迫った。

離脱後の新たな通商関係締結に向け、イギリスのメイ首相が3月2日に、EUのトゥスク大統領が同7日にそれぞれの包括的な提案、交渉指針案を示し、新たな関係構築の模索が本格化しようとしている。

双方ともにまずは高い要求、原則を示し、協議開始のたたき台が示された形だ。

複雑で多岐にわたる通商交渉の細部を理解するのは容易ではないが、筆者にとって意外だったのは、EU側がいきなり、モノ(商品)の貿易について「全ての分野で関税ゼロ」を目指す姿勢を示したことだ。

これは、日本経済にとって希望の持てる展開だろう。

なぜなら、トヨタ自動車や日立製作所など多くの製造業がイギリスに進出している日本経済界がブレグジット問題で最も懸念している点の一つが、関税の行方だからである。

トランプ米政権による「世界貿易戦争」への懸念が高まる中、イギリスとEUは「開かれた通商体制」に踏み止まることができるのか。

イギリスとEUが示した方針から、双方がどこへ向かおうとしているのかを読み解いてみたい。

 

イギリスの貪欲な交渉姿勢

メイ首相は「我々の将来のパートナーシップ」と題してロンドンで演説した。

メイ首相演説するメイ首相。2018年3月2日〔PHOTO〕gettyimages

メイ首相はまず、EU離脱という国民投票(2016年6月)の結果に遡り、「投票結果は国境、法律、お金のコントロールを取り戻すことを求めたものだ」と述べ、この結果を尊重することが交渉の大原則であることを強調。単一市場と関税同盟から離脱する方針に変わりがないことを確認した。

その上で、メイ首相は、欧州経済地域(EEA)に参加するノルウェー型や、カナダとの自由貿易協定(FTA)などEUと非加盟国が結ぶ既存のモデルは参考にならないと切り捨て、イギリスとEUが最大限に緊密な関係を目指して「権利と義務の新たなバランスを図る」ことを求め、産業分野ごとに詳細な提案を行っている。

注目されるのは、イギリス国内に向けても「厳しい現実」を直視するよう訴え、EUの司法権(欧州司法裁判所の役割)や分担金の部分的な受け入れ、「ヒトの移動の自由」に代わる「労働者の移動」の取り決めなどで柔軟性を示していることだ。

例えば、モノの貿易では、単一市場のサプライ・チェーンを温存するためにも関税は導入しないことを提案。一方で、EUの規制、認可が厳しい化学や医薬品、航空の3分野ではその部門を管轄するEU規制機関の「準会員」となり、そのルールを受け入れて財政負担も行うとしている。

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