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日本の小売りがAmazonに殺されないための「3つの方法」

規格外のモンスター企業の死角を狙え
「商品点数が多い」「配送スピードが速い」「値段が安い」の三拍子で、日本の小売業を軒並み飲み込む勢いで成長を続けるアマゾン。その強みの源泉は何か、国内業者が対抗する術はあるのか。ネットショップと実店舗、両方の事情に詳しい、経営コンサルタントの竹内謙礼氏が語る。

「無茶な売り方」を続けられるワケ

アマゾンのおかげで私たちの生活は大きく変わりました。日本中どこにいても購入した商品をすぐに届けてくれるので、"欲しいものが買えない"という不満を抱えることがなくなりました。

しかし、この便利なシステムは、日本の小売業者を困らせるものにもなっています。実店舗に買い物に行くどころか、アマゾン以外のネットショップで商品を購入することすら億劫になるぐらい、アマゾンには麻薬的な魅力があります。

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その状況は"アマゾンエフェクト"(アマゾン効果)と呼ばれ、日本中の商売人は「いつか日本はアマゾンに制圧されるのでないか」と恐れおののいています。それがどれだけ現実的な話なのか。まずはアマゾンの"強み"について考察してみましょう。

 

アマゾンの最大のウリは「商品点数の多さ」「配送スピード」「安さ」の3つに尽きます。"無尽蔵"の商品点数に配送スピードの早さが重なり、そこに安さがプラスされるわけですから、消費者にとってこれ以上の魅力はないサービスと言えます。

しかし、このような「無茶な売り方」は得てして長続きしないものです。どこかで息切れをして、商品が管理しきれなくなり、最後は値上げを余儀なくされて「やっぱり無理して売っていたのね」とオチがついて、売上が縮小していくのがいつもの小売業の失敗パターンと言えます。

ところが、アマゾンは日本に上陸して以来、一度も成長が鈍化したことがありません。むしろ加速させて日本の小売業を駆逐する勢いで総流通額を伸ばしています。

そう考えるとアマゾンの強みは「商品点数の多さ」「配送スピード」「安さ」ではなく、半永久的に日本の市場で戦い続けることができる「体力」にあるのではないかと推測することができます。

そして、その点をさらに掘り下げていくと、アマゾンが長期的な薄利多売に耐えられるのは、「儲からなくてもいい」という開き直りがあることが分かります。

アマゾンの「稼ぎ頭」は何か

アマゾンは儲け度外視で商品を安く売り、赤字覚悟で全国各地に商品を届けてくれます。しかも定額で映画も見放題、本も読み放題のサービスも提供しているので、一般の消費者から見れば「アマゾンはどこで儲かっているんだ?」と疑問に思う人も多いと思います。

事実、米国のアマゾンドットコムの2011年~2017年までの業績推移を見てみると営業利益率は0.2%~3.08%しかなく、ほとんど利益が出ていません。厳しい業績が続くウォルマートですら2016年には5%の利益率を出しているのですから、いかにアマゾンが儲からない企業なのかということは容易に想像することができると思います。

しかし、低い利益率にもかかわらず、アマゾンが攻撃的なビジネスモデルを継続できるのにはしっかりとした理由があります。それは、稼ぎ頭のクラウド事業の存在が大きいと言えます。

アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と呼ばれる、アマゾンが"副業"として展開しているクラウド事業は世界各国の企業で利用されており、2017年10月に発表された第3四半期決算では売上高で45億8000万ドル(約5130億円)、営業利益は11億7000万ドル(約1280億円)と、前年同月比で42%と急成長しています。

そして、このクラウド事業がネット通販事業の拡大と同じように、株式市場で高い評価を受けているのです。2017年5月にはアマゾンドットコムの株価が初めて1000ドルを突破し、上場以来の最高値を更新しました。時価総額53兆円となりトヨタの3倍近くまで拡大したところを見ると、いかにアマゾンが市場から高い評価を受けていることが分かると思います。

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