食べるを変える、フィードイノベーション社代表 佐藤氏の挑戦 【後編】

(以下、フィード社)は、昨年国内で初めて一次産品であるお米「あきたこまち胚芽米」のハラル認証を取得したことで業界の注目を浴びた。
フィード社は有機農産物や加工食品のマーケティング支援を行うだけでなく、商品の収益向上を目指したコンセプト設計やチャネル開発の支援を行っている。
さらにハラル商品ワンストップサービスの一環として、独自の日本産プレミアムハラール食品ブランド「HACHI」を立ち上げるなどその動きは活発だ。
彼らがどのような理念で事業を行い、そして今後どのような取り組みを進めていく予定なのか、フィード社代表取締役の佐藤仰喜氏に話を伺った。

【前編】はこちらをご覧ください。

なぜハラル対応を行ったのか

そもそも一次産品は全てハラルであるのに、なぜハラル対応することを考えたのか。その理由として、佐藤氏は国内市場の縮小を挙げる。

既に問題になってきていますが、この先さらに少子高齢化が進むと考えられています。そうすると当然国内市場は縮小してしまうため、必然的に海外に目を向けざるをえません。

しかし中国や台湾には既に競合が存在するため、今からその市場に参入するのは難しい。またお米にかぎらず農産物には賞味期限というものが存在するため、あまり遠方に運ぶというのも現実的ではありません。

そこで日本からそれほど遠くない東南アジアに目を向けて市場を調査したところ、まだまだ競合が少ないことが分かりました。同時にそこでハラルというものを知ったのです

佐藤氏は国内の高校を卒業後、オーストラリアの大学に進学し、海外での見聞を深めた。入学から5年間海外に滞在していたため、英語での意見交換もお手の物である。そんな佐藤氏にとって、海外への展開は必然だったといってもいい。

なお、同社マーケティング担当の竹村氏もロンドンの学校を卒業しており、大変グローバルに活躍可能な人材が揃っていると感じた。

お米という食材の海外展開を考える上で、まず調べたのがオーガニックという基準。しかし各国でのオーガニック基準は曖昧な部分も含んでおり、商品を一つの企画で統一して展開していくことは難しいが、それに対してハラルという基準の方がまだ世界的には一般化されていると感じたため、佐藤氏はハラルでの展開に本腰を入れていくことを選択したという。

あきたこまち胚芽米は日本アジアハラール協会の監督の元でハラル対応を行った。
一次産品であるお米のハラル対応とは具体的にどのような点をチェックされたのだろうか。

まず水田半径3km以内に豚舎がないことを確認しました。そして、精米工場で使う潤滑油に豚由来の成分が混入していないことも確認しています。

またお米の肥料に豚糞を使用していることもあるため、本当にハラルなものを生産するのであれば、そういったものも使用できません。あまり知られていませんが、かぼちゃなどの水洗いに使用されるブラシには馬の毛が利用されています。

お米を取り扱う際も似たようなプロセスを経由する部分もあるため、このような想像もしなかった部分まで確認していくのは少し大変でしたが、特に難しいところはありませんでした。

正直なところ、認証を取ることが難しいとは考えていません。常に基準が見直されるので、新しい基準をキャッチアップし、新基準に則って工場などを対応させていく認証維持の方が大変だと考えています

ハラル認証取得は日本アジアハラール協会のものを選択した。海外展開を考える上でマレーシアのJAKIMの持つ認証マークの力は魅力的だが、マレーシアから監査員を日本に招いて現地で確認して貰う必要があり初期コストが高くなるため、試験的にハラル対応を検討する上では不適切だと考えた。

だが、今後の海外展開が順調に進めば、JAKIMやMUIなどの認証を取ることも検討したいと佐藤氏は言う。

以上のような経緯からあきたこまち胚芽米をハラル対応したが、まだ日も浅いため売上には結びついていない。しかし一部のSNS(PinterestやFacebookなど)上で大きな反応を感じており、これからだと同社マーケティング担当竹村氏は言う。

国内では丸正フーズと共同でスーパーマーケット「ママズプレート」の一角に、全国の国産ハラル認証商品を集めたハラールコーナー(muslim's plate)を設置し、在日イスラム教徒及び観光客へのPRを行っている。

最初は興味津々で冷やかしに来ている程度だったが、最近は少しずつ買い物客も増えているそうだ。いずれにしてもまだ認知度向上の段階だと考えているため、特に焦りはない。 

ハラル認証を取得したフィード社の勢いは止まらない。

彼らはその後、日本産プレミアムハラール食品ブランド「HACHI」を立ち上げた。なぜこのようなブランドを立ち上げたのだろうか。

実態として各国のハラル基準はバラバラなので、どこの認証を取得しているからその食べ物が安心だという風にムスリム消費者は考えません。それよりも企業や商品のブランドの方が重要視されています。お米に認証マークを貼ってあるだけでは企業ブランドの認知度は高まらないと思いますので、私どももHACHIというブランドとしてアピールしていきたいと考えています。

また弊社は現在百貨店に国内ハラル食品を複数納めていますが、各社がそれぞれの基準で商品を作っているため、パッケージなどに統一感がなくバラバラで取り扱いにくいという問題があります。

パッケージがバラバラだと消費者へのアピールも弱くなってしまいますので、HACHIブランドとして統一して提供することでハラル対応商品として統一感を見せることが重要なのではないかと考えています。可能な範囲になりますが、商品の保存期間もある程度統一していけると良いでしょうね

今まで国内マーケットをこれほど綿密に意識して商品設計を行っているハラル食材企業は例を見ない。

最後に今後の取組みを伺った。

まだ国名は伝えられませんが、海外に自社商品を持って行くことを計画しています。また2020年にオリンピックが開催されることが決定しましたので、今後多くのムスリムが来日することになるでしょう。彼らが日本に来て食べるものに困らないように、国内の様々な食材のハラル対応促進もお手伝いしていきたいと考えています

これからのフィード社、佐藤氏らの活躍に期待したい。

〈了〉


神田 真仁
ハラルニュース編集長 / IT起業家 現在は主に日本を拠点としてITビジネスを行なっていますが、海外経済視察やビジネスなどで年に数回は世界(主にASEAN、その他新興国)を訪問しています。 大手企業などで各種IT系(基幹系システム、webサービス、モバイルアプリ)のプロジェクト管理・企画・開発を経験。 イスラム教のハラルビジネスに関するコンサルティングなども行っています。

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